9. ケンブリッジ大学 人間とAI
2026/04/29 16:39
この写真は、 2018年、ケンブリッジ大学 エマニュエルカレッジ を訪問しました。ここで開催されるシンポジウムで、MBDとAIについて語る機会をいただいたためでした。このシンポジウムは、毎年、ケンブリッジ大学にゆかりある方達が主導し参加しているもので、人間と機械のあるべき関係について考えることを主要テーマとするシンポジウム。ケンブリッジ大学ゆかりでない私がここの常連となっているのは不思議なご縁です。
MBDとAIの連携について、わたしはいくつかの妄想を持っています。この公開シンポジウムで私が話したのは次のようなことでした。巨大システムの開発で、いずれ私たちは行き詰まる。その解決のために必要な革新がある、という前置きをしたうえで、
革新ポイント1) 全てをモデルでつなぐ革新
技術+周辺環境+人間+社会までもモデルでつなぎ、最適化する
→課題:複雑すぎて人間には最適化が困難。AIのサポートが必要となる
革新ポイント2) AIと 人間の 開発分担の 革新
仕事の上流を人間が分担し 下流を AIが分担する
→課題:人間の要求が曖昧すぎて、AIと正しく会話できない
革新ポイント3) 人間同士、組織同士の 連携革新
複数の企業や研究機関があたかも1つの企業体のようにつながりたい
モデルベース開発 で 巨大シミュレーションを動かし最適化する
→課題:大規模すぎて人間が意思決定困難。AIのサポートが必要


写真をさがしたのですが、飲んでる写真ばかりだな(笑)。でもご存知でしょうか、シンポジウムの本当の意味は、ギリシャから来ていて、一緒にテーブルを囲んで協議する、お酒を一緒に飲んでさらに深く語り仲間になる、が正しい意味。かの哲学者プラトンが、仲間と夜通し飲みながら哲学を語り合う「饗宴」という著作を残しているが、あれがまさに、シンポジウム。

このシンポジウムのあと、ケンブリッジ大学のAIの権威 カール・ラスムーセン教授を紹介いただき、このAI+MBDの革新の話で大いに盛り上がった。初対面のとき、この話を1時間以上もしたと記憶している。人間がAIと正確に会話するためには、新たな言語がいるだろう、という話にまでなった。ありがたいことに教授とは良い関係を継続させていただいている。教授がいつもおっしゃることは、将来も人間が中心であるべきで、AIが何んでも自動でやるべきではない、AIは人間の意思決定を助けるエンジンであるべきだ、という主張。もちろん教授の主張には、100%共感しています。まさにホーキング博士のお考えの継承者ですね。
ケンブリッジ大学 カール・ラスムーセン教授 の有名な著書がある。
Gaussian Processes for Machine Learning
AIの研究者にとっては、ガウシアンプロセス理論の聖書らしく、私の身近でも多くの方が読んでおられるようだ。AMAZONで買うと7000円もするのだが、実はPDF版が無料公開されている! どうなってるのかわからないくらいすばらしい!
http://gaussianprocess.org/gpml/

制御系設計ツール MATLAB の MBC(AI)には、
この理論に基づき教授の開発した関数が、古くから搭載されている。わたしたちは、ずいぶん昔から、その関数を活用してきた。当時は、教授と面識なかったわけで、奇遇にも、である。教授と2回目の対面をしたときにこの奇遇に気づき、この話でおおいにもりあがった。一緒に訪問していた同僚は、この本の読者でもあり、この本に教授のサインをもらって、感激しまくっていた。そりゃそうだろ、彼にとっては、技術の神に出会った感じだったはずだ。
この本の表紙、多峰性の山々である、AIで扱うのもそんな問題であるけれど、教授の趣味が「登山」ということも偶然ではないだろう。ケンブリッジ周辺の山は、もうぜんぶ登り尽くしていて、最近は遠くまで、登りに行きます、とおっしゃる。これも何かの比喩に聞こえる。

