24. 思い出深い MBD特許
2026/04/30 1:26
実は、特許を出すのは面倒くさく、とても嫌いだった。出さないといけない時だけ、集中的に出した。
それでもいつのまにか、だいぶたまった。177件出している。 いくつか思い出深い特許がある。
(知財の図表はいずれも Google Patent の検索結果から)
<反省の特許>
できの悪い問題児ほど可愛いという話もあるが、技術も似たようなもので、知財権は取れたが、権利があった時には全く使えなかったという、反省の特許もある。
その代表は、1993年に出願し、2017年には権利が切れた、MBDの特許が代表だろうな。 車両制御システムの中に、複数の車両シミュレーションモデルを組み込むというもの。

実機を劣化を含めて同定するモデル と 良い状態に戻すために机上でチューニングするモデル、安全にチューニング終わった後は、実制御のパラメータを書き換えるもの。つまり、自動適合、自動故障診断、自動修理、ができるものだった。
ただこれには、車載コンピュータの能力革新とコスト革新が伴わないと、車への搭載はできない、贅沢な技術だった。当時は、コンピュータの進化がここまで鈍化するとは思っていなかった、もっと早く使えると思っていた、それが誤算だった。きっと、今出せば、ちょうど良い、使える特許だったと思う。
<成功の特許>
世間に貢献できたという意味では、1998年に出願した、エネルギーモデル(機能モデル)に関する特許だろう。これもとっくに権利切れという点は同じ。この特許は、私の尊敬すべき恩師、角田博士、と当時の研究者で共願とさせていただいたもの。




この技術が経産省殿とのALLJAPAN活動、そしてのその後身のJAMBE、のモデルガイドラインにつながる。そして、ドイツProstep に採用され彼らのホームページにて、このガイドラインは、日本+ドイツ+フランス3国の成果物であり、日本から提案受けたものを採用した、と説明いただいた。
だけど、その採用はいずれも、知財権が切れた後であるので、何も収益は上げていない。これは成功? まあ、名誉だけ成功かな?
<将来性ある特許>
これからの技術分野で、楽しみなのは、manyコア(多くの頭脳半導体を有するもの)を前提とした モデル(ソフト)&エレキアーキテクチャ (ハード)の知財だろう。
1989年に、マルチコンピュータを用いた装置の特許を出した。many core の時代の、車載コンピュータやMBD開発環境を想定したものだった。もちろんもうとっくに特許期限切れ。当時手に入った、Dual-Port-RAM という半導体を用いた、実用的で役に立つ、無駄な待ち時間が存在しない、優れた並列処理方法だった。世間では画像処理の高速化のために使われていたもので、大量のデータを塊でやり取りするには問題ないのだが、複数のスケジューラで動くリアルタイム制御では、普通に使うと重大な問題を起こす癖があり、それを回避する技術を入れて使った。この考え方で、いくらでもたくさんの頭脳を使った並列計算が可能な原理だった。シミュレーション環境としても、Rapid-ECUとしても、大いに有益で役に立った。しかし、知財という面では、全く儲かってはいない。何でも早すぎてもよいわけではないと悟り、その後は、発明から10年遅れくらいで出そうと心に決め、そのようにした。
この発明の続編の特許は2020年に私が出願し権利化されている。つい先日、辞めた会社から発明報奨金が送られてきた。 内容は、現在のテスラのエレキアーキテクチャよりも先進的なもの。発明時期は2013年だったが、だいぶたってから出願。

これは楽しみだねえ
けっこう、
これらの話を思い出しながら、
独り言いうだけでも
ワインは進む
くやしいやら、おかしいやら、ほこらしいやら、
よくわからない、
複雑な味と香りがする。

