5. 制御モデルの 開発エピソード

この章も「SecJournal2012(IPA誌):世界一のため、創造のためのモデルベース開発(MBD)へ」から転載させていただきます。
●SKYACTIV技術について~制御モデル化~
エンジンの高圧縮比を実現するためにも、車両と動力源との調和がとれた最適化のためにも、制御システムが果たした役割は大きい。SKYACTIV実現のため、基本から見直して一新した。主に以下のような点である。
1吸排気流動や燃焼室状態の予測精度向上
2最適な混合気を安定形成する燃料噴射制御
3超高圧縮比を使い切るための異常燃焼抑制制御
4次世代i-stopシステムを含む燃費最適制御
5「走る歓び」を実現するための駆動力制御
1と2は、点火や燃料噴射制御の大元となる情報である吸排気流動、燃焼室状態の予測精度を高めた上で、理想と
る燃焼状態を安定的に作り出すものであり、いずれもモデル技術の集大成として制御プログラムの中にそのノウハウを織り込んだ。3は悪魔の異常燃焼を回避するため、これもモデルによる異常の予測と、未知の外乱にも耐えうる新しい検出技術を組み合わせて搭載した。4は、ブレーキで捨てられていたエネルギーをバッテリーに回収し再利用するなどの、エネルギーマネジメント制御を搭載した。HEV制御との違いはモーターが無いだけといっても良い。5は駆動輪の駆動力をモデルで推定し、ドライバーが要求する通りの駆動力を実現し、意のままに走る人馬一体感を創出するための制御である。
いずれも、燃費をトップレベルに高めるのはもちろんのこと、快適な走り感“ZOOMZOOM”を演出するためのシステム技術である。
(下図は マツダ技術報告からの引用)

SKYACTIVを支えたモデルベース開発
制御システム開発において、その規模が10年で10倍という勢いで増大している。また、最適化すべきパラメータの数は膨大であり、一番最適な高い山がどこにあるかの探索は、もはや人間の能力の限界を超えてきている。さらにSKYACTIVの開発においては、モデルが大規模化し、航空、宇宙、自動車で広く使われている従来のMBD開発ソフトウェアの限界を超えてしまい、フリーズさせるに至った。
ソフトウェアの開発元からは世界初の問題といわれたが、特別対策体制を組んでいただき解決した。これも今となっては良い思い出である。
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〜 ミスター・モデルベース開発 と呼ばれた男の独言 〜
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