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〜 ミスター・モデルベース開発       と呼ばれた男の独言 〜

ヘンジニア

42. 言語の意味理解 


  私はものすごく、ハヤトチリが多い、聞き間違いが多い、理解ミスが多い、、、世間的にも 困った人である 

   よく、「人の話を聞いていない」と言われる、いや、叱られる。

  半分は聞いていると思うのだが、聞くふりしてその先のことが気になってしょうがないので、先のことや周辺のことを考えながら聞いている。つまり、上の空状態だ。これは文章も読む時もそうだ、、、

 

  ARMのハーマンハウザー卿に、面白いお話を伺ったことがある。

 程度問題こそあれ、多くの人が、人の話を聞いていないそうだ。ところどころ聞いて、過去の自分の経験に近い事例を頭で探索して、それに当てはめて推論を繰り返しているそうだ。

 悪いことばかりではなく、 人間はこれをやっているから、例え相手の話が 断片的で、主語や述語が曖昧でも、全体をうまく補完して理解する。 これをやっているから、会話は洗練され、短い要点だけで、高度な会話ができるらしい。

  この話は、コンピュータの自動翻訳を研究している 学者の 研究成果で、 これがあるから 洗練した会話を 自動翻訳することは 難しいのだと言うことだった。

 

  コンピュータ言語の読解の話に、話題を少し変えてみる。


 人の話の読解とは 別で 超正確で詳細から 要するにどう言うことか? を解き明かすタスクである。 

 新入社員2年目の頃、ある大先輩から、車の制御を自習する課題を渡された。

先輩たちは2-3日のトリップ出張、北海道での雪路テストで、トラクション制御の実験評価研究をするということだった。その間に先輩のやってる トラクション制御のプログラムを 読んでおきなさい と言うことだった。

  

 プログラムの方は、多分、数千行から1万行程度だったと思う。それはアセンブラで書かれていた。

 

MOV AX, 1100b               ; AX = 0000 1100
MOV BX, 1010b               ; BX = 0000 1010
OR AX, BX                       ; AX = 0000 1110

 

    のような調子で 暗号に近い 代物だった。アセンブラのコンパイラを開発した直後だったから、もちろんよくわかるけれど、 最初は退屈な仕事に思えた、でもやってみると、意外と面白かった。

 その先輩とは、その仕事を一度も一緒にやったことはなく、その研究車両に一度も乗ったことはなかった。

車をどう制御して動かそうとしているのだろう?と、未知なる秘密を解き明かすパズルを解く面白さにハマった。

  おもしろいは物の上手なれだ。あっという間に、読解できて、マニュアルを書き起こして先輩の帰りを待った。


 プログラムを読解してマニュアルを書くことを通じて、私の頭の中では、制御モデルと車がつながって動き始めていた。

その妄想の世界の中で、いろんな滑りやすい道を走る時のシーンを、イメージできるようになっていた。

 もし、左右のミューの違う雪路走行をしたとしたら、、、、まっすぐ走るためには、修正舵角を与えながら走らないと、このプラグラムではうまくいかないはずだ、、、

と、考え、それを正すには、ハードとソフトをどう修正すれば良いだろうか? と言うような妄想を いろんな路面状態やいろんな走行シーンを脳内シミュレーションで想いを巡らせていた。

 先輩たちが帰ってきてすぐ、この質問と対応案を話したところ、

「実はまさに、そんなところを、トリップ先では、雪路で評価して育成していたところだった」、と言われ、「よくそこまで読み取れたな!」と、かなり驚かれたのを覚えている。

 



詳細から抽象方向への意味理解、逆に、抽象から詳細方向への創造活動、人間はこれを両方向に行き来する

コンピュータも人間も万能ではない、 この両方向のタスクは 意外と難しい、

この研究は生涯のテーマとなった わけだ。  


 さっきの話の顛末だが、このことをきっかけに、トラクション制御の開発チームに巻き込まれた。

 この時の話も 後で書いてみようと思う