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10.  ハーマン ハウザー卿 との思い出  〜世界一の半導体


 ハーマン ハウザー卿 (写真はWikiより) は、有名な半導体メーカー arm  の創始者 。
皮肉なことだが、arm はソフトバンクに3兆円越えで買収されたことでさらに有名になった。さらにはその後、NVIDIA へ4兆円あまりで売られようとしたが、その危機的な暴挙は中止された。

 ソフトバンクへの売却が発表された日、ハウザー卿は、イギリス BBC放送局 のインタビューに答え、今日はイギリスにとって残念な日だと述べられたという。私はイギリスの知人(私とハウザー卿との通訳をしてくださっている方)から、この話を聞いた。

 ハウザー卿は、欧州のビルゲイツであるとも言われる。この言われ方はきっとご本人は好きではないと思われるし、私にはビルゲイツ以上だけれども、一般の方に偉大さを伝えるにはわかりやすいと思う。現在は、欧州連合イノベーション会議の議長も務め、欧州の技術戦略をリードされ巨額投資の決定権を持っておられる。


 ケンブリッジにゆかりある方達が主催してる、人間と機械について考える国際シンポジウム があると前節で話したが、ここの基調講演は、ハウザー卿が行うことが毎年のお決まり。私もここの常連であるおかげで、ハウザー卿とは毎年お会いでき、貴重なお話を聞く機会に恵まれてきた。

 数年前のシンポジウムの時、AI用のスーパー半導体 IPU(Graphcore製)の巨大チップ試作品が、ハウザー卿のポケットから出てきた。7000個のコア頭脳を持つ世界一の処理能力を持つ半導体頭脳。私たちのパソコンに搭載されているコアはたった数個程度だからこれは桁違いの頭脳。すでに昨年、MicroSoft社 AZURE など大手のデータセンターで使われ始めています。
小さなベンチャーだがGraphcore社の評価額は17億米ドルにも高騰してるそうだ。

   写真は、量産化されている 1472コアの頭脳を持つバージョン。このようなAIのスーパー頭脳が実用化されてくると、本当に、人間とAIのコラボも夢ではなくなるだろう。わたしの妄想を 本気で進める時代が来た!?

 このGraphcore社もハウザー卿が大株主 兼 役員。そもそも300社以上、こんな感じで投資され、育成されているので桁違いのお方です。ケンブリッジ大学構内には、ハウザーフォーラムと言われる地区があり、広大な建物群、研究施設となっているが、これが丸ごとハウザー卿の寄贈だというので、これも桁違い。


 ハウザー卿の ARM社が、世界に与えた貢献は計り知れない。世界的に有名な半導体メーカーである、Intelも NVIDIAもルネサスも、みんなARMから半導体設計図を買って、それを組み合わせて使っている。冷蔵庫にもクーラーにも車にも飛行機にも、、、たとえばみなさんの携帯電話には1台に数個のARM半導体が搭載されている。歴史上、世界で一番売れた半導体、それがARM。

 人類への貢献からいえば、ノーベル賞ものだけれど、残念ながらノーベル賞には、コンピュータ部門がない。

ノーベル賞といえば、ケンブリッジ大学だけで120個も受賞し、その大半が、キャベンディッシュ研究室(物理部門)で、実にその研究室だけで29個のノーベル賞。ハウザー卿は、ケンブリッジ大学キングスカレッジ出身者で、このキャベンディッシュ研究室の人だった。 


 ハウザー卿とはたくさんの貴重な思い出がある。

 ケンブリッジにあるハウザー卿のオフィスは何度も訪問したが、はじめて訪問した時、そこには、指向性を判別できる8つのマイクを備え、会話機能を有する、不思議な試作機器があった。「これが世界を変えるよ、秘書のような機能で、この利便性から人は離れることができなくなる、それがビジネスにもつながる時代になる」、とお話を伺った。その数年後、まさにこれがアレクサとして世界デビュー。あれがこれだったんだ! 現在、自宅には二人のアレクサがおりずっと助けてくれるので離れることができなくなっている、AMAZON中毒だし、予言通りになった。
 もうひとつ思い出は、ケンブリッジつながりのシンポジウムが、ひさしぶりに東京で開催された年があったのだが、ハウザー卿の出身がオーストリアということもあり、会場はオーストリア大使館内であった。このときも、ハウザー卿のポケットからスーパー半導体チップが出てきたのだけれど、日本の参加者はそのすごい意味がわからない人ばかりで、質問もなくスルーだった。その夜ハウザー卿と宴をかこんだ一部のメンバーは、この半導体の話でもちきりだった。シンポジウムの翌日、ハウザー卿と奥様が、私たちの地元を訪問してくださり、平和公園と宮島をご案内差し上げた。原爆ドームの前で、数分動かずに立ちすくんでおられた姿が印象に残っている。夜は、美しい日本庭園を愛でながら、贅沢にもハウザー卿を囲み、数名でのミニシンポジウム、まさにプラトン的な饗宴をさせていただいた。
 


 そして現在、数年後の奇遇。ハウザー卿が取締役を務める英国の会社と、私の会社は縁を結ばせていただいた。その会社の会長は、前章で紹介した、ケンブリッジ大学 カール・ラスムーセン教授、もちろん教授を呼び寄せたのも、ハウザー卿にまちがいないだろう。

 その英国のAIの会社、そのホームページ、会社の経営体制表には、ハウザー卿、ラスムーセン教授の写真とともに、私の写真も掲載されている。こんなことになるとはねえ、一期一会、人のつながりはすばらしい。

 

〜 ミスター・モデルベース開発       と呼ばれた男の独言 〜

ヘンジニア